HOWDY!
アメリカ・テキサス州オースティン在住9年目、マーケットリサーチャーのメグです。
ペットボトルの自動販売機販売価格が値上げされたという日本のニュースを目にしました。気軽に買えるのが便利な反面、生活必需品の値上げは困りますよね。
日本では自販機やコンビニのペットボトル飲料が生活に根づいていますが、アメリカでは逆に「水筒持参」が常識です。
その1番の理由は、エコ意識の高まりですが、実はSNS映えやファッション性、そしてライフスタイル価値観のシフトがあります。米誌 The Economist が「水筒は必需品であると同時にファッションステートメント」と表現するなど、生活しているとファッションの一部としての側面も感じます。
アメリカで2025年に注目を集める水筒ブランド5選とその最新トレンドをお届けします。
1 なぜアメリカでは「マイボトル」が前提?
一番の理由はエコ意識。
プラスチックごみ削減やSDGsへの取り組みが広がる中、ペットボトルの消費は「時代遅れ」と捉えられています。
日本でペットボトルに慣れていた私は、移住してきた当初、英語の授業などにペットボトルを持ち込んでいました。ふと周りを見ると、ほぼ全員がマイボトル持参。面食らいましたが、マイボトルに替えてからは慣れるものです。最初は水を補給するのが面倒くさいと思うこともありましたが、暑い夏でもキンキンに冷えた水を飲めるし、今ではマイボトル持参が習慣化しています。
次に挙げられるのはウォーターステーションの整備でしょうか。学校やジム、公園、オフィスビルには給水スポットがあり、どこでも無料で水を調達できるのが当たり前。水筒を持ち歩く利便性が高まっています。
健康志向の変化も大きな要因です。砂糖入り飲料や炭酸ドリンクから、水や無糖ドリンクに切り替える人が増え、水筒文化を後押ししています。
2 Owala/Stanley 「水筒=自己表現」
アメリカのZ世代にとって水筒は、単なる道具ではなくファッションアイテム。「持ち歩くことで自分を表現する」という価値観があります。
たとえば Owala (オワラ)は、限定カラーを定期的に小出しにする戦略でファンを惹きつけています。SNSで「新色をゲットした!」と共有することで自己表現。
FOMO現象を活用したマーケティング事例です。Trader Joe'sのエコバッグも、限定の新色販売戦略で人気を総取り。同じ手法です。
ちなみに、10月2日に新発売した秋の新色は「Autumn Vista」。落ち着きのある淡い麦色です。
一方 のStanley (スタンレー)は、実は100年以上の歴史を持つ老舗ブランド。大容量の「Quencher」シリーズがTikTokでバズり、若い女性たちにとって、Stanleyのタンブラーを持っていること自体が「おしゃれ」で「映える」行為になっています。実物はとても大きくて、邪魔じゃないのかな、と思ったりするのですが、水分補給は健康維持のためにはマストなので、彼女たちが正解なのかもしれません。
10月26日に発売予定の新コレクションWickedは、Targetの限定販売です。
3 Hydro Flask/YETI/Klean Kanteetに見るライフスタイル
Hydro Flask
アウトドアブランドとしてスタート、いまではキャンパスやオフィスで見かける日常使いの定番に。シンプル、カラフルな色展開が人気です。私もホワイトカラーを愛用していますが、可愛いし保冷機能はばっちりで実用性があります。
10月1日に新発売のOUT WESTコレクションは2色展開。
YETI
私の住む街テキサス州オースティンに本社を構える水筒ブランド。
ハードユースにも耐える丈夫さが特徴です。価格は高めですが、品質と耐久性、「持っていることがステータス」という価値感で老若男女問わず支持を得ています。
新作はオーステインのアパレルブランドHOWLER BROTHERSとコラボしたThe Dub Store Collection。「ダブストア」の日本語がかわいい!
Klean Kanteen
既出の4ブランドと比較すると、認知度は少し低いですが、ステンレス製ボトルのパイオニア。
環境配慮やサステナビリティを前面に出したブランドストーリーで共感を集めています。公式ホームページでは、湧き水とミネラルウォーターの違いなど、中に入れる水についての情報も発信しています。
秋の限定コレクションは16oz TKWide。
これらのブランドに共通するのは、ライフスタイルを体現する存在としての位置づけです。もちろん、品質や機能も重要な要素ですが、消費者が水筒を購入する選択基準の1つに、ライフスタイルを考慮していることがうかがえます。
アメリカの「マイボトル前提社会」は、環境配慮の流れに加えて、ファッションや自己表現を重視するZ世代のライフスタイルが後押ししています。
この流れは、日本にもじわじわ波及するかもしれません。
ファッションアイテムとして、自己表現ツールとなっている水筒。 新しいライフスタイルの提案がつまったアメリカ水筒業界、今後も注目です。